「不眠症」とは!?寝不足をもたらす多様な症状

2018年9月1日睡眠負債

睡眠不足をもたらす要因として、最も多くの方が悩まされているのが「不眠症(不眠症状)」です。

睡眠負債が蓄積されることで、まず具体的症状としてあらわれやすいのが「不眠症」と言えそうです。

睡眠不足を認識していても、「不眠症状」を有していることを自覚出来ていない方も案外多く存在しているものと考えられています。

 

「不眠症」は、現代社会にて「睡眠不足」の最も大きな要因に!

不眠症と睡眠不足

近年、”睡眠外来”など各種睡眠障害に対するケア施設が増加すると共に、いままで潜在していた”不眠症”の方々が顕在化してきているということもあって、全体的に「不眠症」が増加傾向となっています。

基本的に”不眠症”の要因は多岐に渡っており、「ストレス」「生活習慣の乱れ」「ライフスタイルの多様化」など様々な因子が関連しあうことによって、誘発されてくる症状と考えられています。

基本的に、世代・性別問わずに”不眠症”となる方が存在していますが、ひとつの傾向としては、「高齢者」「男性よりも女性」のほうが ”不眠症”と感じている人が多いようです。

ただ、これはあくまで顕在化している統計であって、実際は潜在している不眠症も多く存在していると考えられることから、現代社会においては、やはり誰しもがなりえる睡眠障害といえるのではないでしょうか。

 

不眠症の定義。不眠症とは!?

「不眠症」に関して、米国睡眠医学会では下記のように定義づけされています。

睡眠の開始と持続、一定した睡眠時間帯、あるいは眠りの質に繰り返し障害が認められ、眠る時間や機会が適当であるにもかかわらずこうした障害が繰り返し発生して、その結果何らかの昼間の弊害がもたらされる状態。

重要なポイントとなっているのが

  • 「繰り返し」症状が起きていること
  • 日中の活動に何かしらの悪影響が生じていること

の2点です。

逆に言えば、不眠と感じる状況があっても、上記2要素を満たしていなければ、「不眠症」には該当しないと考えられそうです。

睡眠は「心の状態」によって、影響を受けやすい要素。「なかなか上手く寝付けない」「中途覚醒してしまう」ことなどは誰しもが経験していることです。

上記2要素を満たしていない状況であれば、あまり日々の睡眠状況を気にしないことも大切な要素となりそうです。

 

「不眠症」の症状とは(種類)!?「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」

「不眠症(不眠症状)」には、その症状・特徴の違いから、「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」の4タイプに分類されています。

 

入眠障害

一般的に最も不眠症状として、自覚されやすいのが「入眠障害」です。

”入眠障害”とは、寝床に入っても、なかなか眠ることが出来ない症状のことを意味しています。

「寝つき時間」に関しては、個人差がありますので、単純に寝付くまでの時間が長いからといって”入眠障害”となるわけではありません。

一般的には、寝床に入ってから「30分以上・1時間以上」入眠するまでに時間がかかり、かつ、「そんな状況を苦痛である」と感じることが多々あるという状況を目安として判断されています。

基本的に、本人が「苦痛」と感じていなければ、入眠障害とは判定されることは少ないようです。

 

中途覚醒

「中途覚醒」とは、睡眠中に何度も「浅い目覚め」を起こす睡眠障害を意味しています。

こちらも、単純に睡眠途中で目覚めることがあっただけでは、”不眠症”とはなりません。中途覚醒しても、その後再び、すぐに睡眠へと移行できるのであれば、問題ないものと判断されています。

中途覚醒後になかなか再度寝付くことが出来ずに、”苦痛を感じる”ことが度々あるときには”不眠症(中途覚醒)”を疑い、診察を受けるようにしたいものです。

 

早朝覚醒

希望時間よりも、早くに目覚めてしまい、その後なかなか眠ることが出来なくなるのが「早朝覚醒」です。

こちらも、単に「朝早く目覚めてしまう」だけでは、”早朝覚醒”とはなりません。

早朝に目覚めてしまっても、”心地よく””活発”に行動できるのであれば、健康的な状態と考えられます。

覚醒した後に、寝付くことが出来ないことによる「苦痛」を感じること及び日中に強い眠気を感じたり、夜遅くまで起きているのが辛いと感じることが多々あるようなら「早朝覚醒タイプの不眠症」を疑う必要がありそうです。

 

熟眠障害

睡眠時間は十分足りているのに、起床時に”倦怠感”を感じたり、”休息感”が得られていない・・そんな症状が存在するときに、「熟眠障害」である可能性があります。

熟眠障害は、長く寝床内で時間を過ごしている人が感じやすい睡眠障害。多くの場合「入眠障害」「中途覚醒」などを伴っていることが多く、それらを同時にケア・対処していくことが重要な要素となります。

 

「不眠症」を引き起こしやすいと考えられている各種要因・原因

「不眠症」は、多様性のある不眠症状。その要因も、様々な要素が関連しているものと考えられています。

そんな不眠症状に繋がる可能性がある代表的な原因をご紹介しておきたいと思います。

「薬」による影響

近年、医療の発達と共に、”薬”の開発研究も進んでいます。多種多様な一般薬も日常的に活用されると共に、様々な疾病に伴い複数の薬を処方され、活用することも多々あるのではないでしょうか

そんな”薬”の中には、「不眠作用」が存在するもの及び不眠の作用は明確とはなっていないものの潜在的な作用があるものが多数存在しているのです。

例えば、「パーキンソン病の治療薬」には、”不眠””日中の眠気”を起こすものも存在。

「降圧薬(ベータ遮断薬)」「ステロイド薬」「抗ヒスタミン薬」「抗てんかん薬」には、”不眠””日中の眠気”に繋がる作用を有しているものが存在しています。

「睡眠障害」による影響

「不眠症状」は、疾病というよりも、あくまで「症状」として捉えられることが多い要素です。

ただ、そんな中には、「疾病」に分類されるような「睡眠障害」が内在しており、その影響で不眠症状が表れているケースがあります。

 

「身体的な疾病」による影響

「不眠症状」をもたらしているのが、「身体的な疾病」が直接的な要因となっているケースがあります。

例えば「アトピー性皮膚炎」などは、激しい「かゆみ」を生じることがあり、その痒みによって、不眠症状もたらされることが少なくありません。

同様に「気管支喘息」などは、睡眠時の咳・喘息発作によって、睡眠が阻害。不眠症状に繋がることが多々あります。

 

「脳の病」による影響

”脳の病”に関連して、”不眠症”が引き起こされるケースも存在しています。「認知症」「脳卒中」なとが存在していると、不眠が誘発されやすくなります。

高齢者になるほど、”不眠症”が増加傾向にあるといわれているのは、このような別の疾病に伴った”不眠”が要因となっているケースが含まれています。

 

「心の病」による影響

”心の病”を有していると、合わせて”不眠症”を併発することが多くなると 言われています。

不眠を伴う”心の病”の代表格ともなるのが「うつ病」。 他にも「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「不安障害」「統合失調症」などが あげられます。

 

「心のストレス」による影響

「不眠症状(軽度)」の多くは、「心的ストレス」「不安感」といった漠然とした要因が影響しているものと考えられています。

”心の状態”と”睡眠”はとても関連性が深い要素。心配事を抱えていると、誰しもが”睡眠”に何かしらの影響を受けるものです。